えとらんぜ

えとらんぜVOL.3『夜道にはお気をつけください。』

えとらんぜ
ちょっとコンビニへ買い出しに出かけてとんでもない目に遭った友人がいる。散歩がてら甘い物でも買いに出るか、といった具合いの軽いお出かけだったらしい。帰り道は、星など眺めながら、好物の焼きプリンを携えて足取りも軽い。

ところが自宅近くの路地に入った時、前からコートをバサバサ翻しながらくる人物が。明らかに挙動不審である。彼女に気づいたその人物は、歩調を緩めて普通に歩き出す。相手の、人目を気にした様子に一安心した彼女。そして互いの距離が三メートルほどに縮まったその刹那、それは起きた。

 「ねえねえ……バッ」

 「☆○◆×◇ッ!」

 もうお分かりと思うが、露出魔である。男は見せるだけ見せてすぐに走り去ったらしい。

黒いコートに白いセーター、下半身は靴下のみという典型的な露出魔である。彼女曰く「コントかと思った」。  結局、通報するでもなく、なぜか私を呼び出し、喫茶店でその怒りをぶちまけスッキリしたようだが、この後、怖いと言う彼女を家まで送った私はぜんっぜん腑に落ちない。

 「今度はあたしが危険じゃないか」

 しょうがないから走って帰ったけど。

 さて、露出症はその行為自体は、法的には公然猥褻罪で罰せられる。しかしコレは申告罪であって、実際告訴するケースは少ない。身体的には危害を及ぼさないのが特徴。でも刑事罰を免れやすいということは、常習化しやすいわけだし、他の重い犯罪に移行する危険性も持っているという点では笑っていられないのだが。  ところで、私は近所の路上で尻を掴まれたことがある。振り向けば、そこには走り去る男が。音もなく近づき、あろうことかこのナカモト様の尻を断わりもなく両手でわし掴みにしてゆくとは何事か。

というわけで、当然追いかけた。先回りして、別の路地へ入ったら案の定鉢合わせ。前方十メートル先に犯人確認。相手も若干うろたえて後ずさりしている。睨みつけながらも逆ギレされたらかなわんってことで一一〇番。 「痴漢です。◯◯の路上で」

「怪我あるッ?」

「ないけど今追ってます」

「追っかけてくるのッ?」  

「私が追っかけてるの」

「わわわッ今向かってるからそこにいてッ」  

「捕まえたい」

「駄目駄目駄目駄目ッ」

ところがそんなやりとりをしいるうちに、犯人は暗闇に紛れ行方不明。悔しい。じきに来た二人のお巡りさんに、犯人の人相、服装等と被害状況の説明をしていると、後からどんどんお巡りさんがやって来て総勢八名。さらにパトカーまで。不思議に思っていたら、 「良かったよ、怪我なくて。こないだのひったくり事件、あと通り魔もこの辺りなの。あ、暴行未遂もか」 ……危なかった。追いかけたりしたことは反省しなければなるまい。

 でもお巡りさんにも一言ある。三回も四回も尻の掴まれ具合を尋ねないでほしい。  「じゃ、触ったとかじゃなくて、掴んだわけね」

「さっきも言いましたけど、そうです!」  

「何度もごめんね。えーと、両手で?一回…」

「さっきも言いましたけど、両手で両尻を一度!」

「なるほど。ん、両…?」

「さっきも言いましたけど、尻というのはこう、左右に割れてますでしょ。その両方の尻っぺたを両手で…」 「触ったとかじゃなくて、掴んだわけね」

……コントかのつもりかッ。

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